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この一年

 この一年、本当にいろいろなことがあった。
 ちょうど一年前に発刊した『なんでかなの記』は多くの方が手に取ってくださり、愛のこもった書評もいくつかお寄せいただいた。年明け頃には、ラテンアメリカ文学の世界へと誘ってくださった学生時代の恩師、星野智幸先生とうれしい再会があった。自分にとってラテンアメリカ文学のヒーローともいえる翻訳者の先生方とも、ありがたいことに少しずつだがやりとりをさせていただいている。
 そして、私事では四月に双子も誕生した。片方の手のひらに乗りそうなほどの早生まれで、生まれるまでにも、生まれてからも本当にいろいろあったが、多くの方の支えでつつがなく今日を過ごすことができている。自分自身の手が動くことに驚いて泣き出すような小さな姿を見ていると、自分がずっとわからずに追い求め続けていることの一端がそこにあるような気もしてくる。

 生活ががらりと変わり、またありがたいことに外部からいただく仕事もあって、結果的に出版活動のほうになかなか腰を据えてかかれない日々が続いてしまっている。あっという間とはこのことか、と実感する一年。この点だけみれば、焦りもある。しかしこれまでの人生、焦って何かをしていいことは本当にひとつもなかった。だから本づくりも、何かに追われるような本づくりはできるだけしたくない、一冊ずつじっくり向き合って納得がいくようにつくりたいと願っている。それによって、できた本にも時の流れへの強い耐性がつくのだと思う。結局、なぜなのか追われてしまうのだけれども……。

 パチッとスイッチを切り替えるようにはなかなかいかないが、これからまた出版活動や表現活動などに徐々にウエイトをかけていきたい。そんな気持ちをこめて、この一年を振り返ってみたところだ。
 これからもっと楽しい一年にできますように。


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